この記事では虫の画像がありますので、苦手な方はお気をつけください!
観葉植物や多肉植物を育てていると、ある日突然、葉や茎に白い粒やベタつき、または葉の表面に細かい傷のような跡が見られることがあります。これらの症状の多くは、カイガラムシ・アブラムシ・アザミウマといった害虫が原因です。この記事では、それぞれの特徴から駆除・予防までをわかりやすく解説します。
主な害虫の種類と特徴
カイガラムシとは

カイガラムシは、白や茶色の小さな殻を持つ害虫で、葉や茎に吸着して樹液を吸います。移動が少なく、殻のような膜で覆われているため、薬剤が効きにくいのが特徴です。排泄物によってベタつきやすす病を引き起こすこともあります。
アブラムシとは

アブラムシは柔らかい新芽や葉裏に付きやすく、群れで発生します。繁殖力が非常に強く、数日のうちに増えることもあります。羽のある個体が他の株へ移動し、被害を広げることがあります。
アザミウマ(スリップス)とは

アザミウマは体長1〜2mmほどの細長い害虫で、葉や花の汁を吸って傷跡を残します。被害に遭うと、葉が銀色に変色したり、花びらが変形したりします。飛ぶ力があり、風や他の植物を介して広がるのが特徴です。特に春から秋にかけて多発します。
アガベマイト(フシダニ)
アガベマイトは、「フシダニ上科(Eriophyoidea)」に属するダニです。通称としてアガベマイトと呼ばれていますが、その正体はアガベに寄生して汁を吸い、葉に油染みや白抜け、茶色い傷を引き起こす微小なダニの一種です。
アガベの新芽に寄生し株の成長点付近から異常が広がり、葉に油染みのような傷や白抜け、サビのような茶色い傷(かすり傷)ができます。
発生する原因
風通しと湿度
風通しの悪い場所や湿度が高い環境では、害虫が発生しやすくなります。特に室内の窓際や植物を密集して置いている場所では注意が必要です。
肥料の与えすぎ
窒素分の多い肥料を与えすぎると、柔らかい新芽が増え、害虫の好む環境になります。成長期でも控えめを意識し、緩効性肥料を使うと良いでしょう。
他の植物からの感染
新しく購入した植物に害虫が付いているケースも多いです。購入後すぐに他の植物のそばに置かず、数日間は隔離して観察するようにしましょう。
駆除方法
1. 物理的に除去する
少数の発生であれば、歯ブラシや綿棒で取り除きます。アブラムシは霧吹きで吹き飛ばすのも効果的です。カイガラムシはピンセットや爪楊枝でそっと削ぎ落とします。アザミウマは葉を軽く水洗いし、傷んだ部分は早めに剪定します。
2. 殺虫剤・薬剤を使う
広範囲に発生している場合は薬剤の使用が有効です。風通しの良い屋外で行いましょう。
・ベニカXファインスプレー:即効性があり、カイガラムシ・アブラムシ・アザミウマに対応
・オルトランDX粒剤:根から吸収され長期間効果が持続
・スミチオン乳剤:原液を薄めて使う強力タイプ
・アグリメック:ダニの一種であるアガベマイトに効果的
カイガラムシには「接触タイプ」、アブラムシやアザミウマ、アガベマイトには「浸透移行タイプ」が効果的です。
3. 天然系で対策したい場合
薬剤を使いたくない場合は、天然成分での対策も可能です。
・木酢液を薄めて散布する
・自作スプレー:水500mlに食用油小さじ1+中性洗剤1滴を混ぜる
2〜3日おきに散布し、効果を見ながら続けましょう。アザミウマには粘着トラップを併用すると効果的です。
再発を防ぐ予防法
風通しを良くする
鉢の間隔をあけたり、サーキュレーターで空気を循環させることで湿気を防ぎ、害虫が付きにくい環境を作ります。
葉の裏まで観察する
週に1回は葉の裏や新芽部分をチェックし、初期段階で発見することが大切です。早期発見であれば、薬剤を使わずに除去できます。
葉水でホコリを防ぐ
ホコリがたまると害虫が付着しやすくなります。朝の時間帯に霧吹きで軽く葉水をして、清潔な状態を保ちましょう。
黄色い粘着トラップを設置する
アザミウマやアブラムシは黄色に引き寄せられる習性があります。植物の近くに粘着トラップを設置しておくことで、発生初期に捕獲できます。
おすすめの害虫対策グッズ
| 商品名 | 特徴 | 対応害虫 |
|---|---|---|
| ベニカXファインスプレー | 即効性・広範囲に対応 | カイガラムシ・アブラムシ・アザミウマ |
| オルトランDX粒剤 | 根から効く長期効果タイプ | アブラムシ・アザミウマ |
| スミチオン乳剤 | 原液を薄めて使用する強力タイプ | カイガラムシ・アブラムシ |
| ダニ太郎 | 水でうすめて散布 | アガベマイト |
| アグリメック | アガベマイトに一番効果的とされている | アガベマイト |
| 木酢液 | 天然成分で忌避効果あり | 軽度の害虫全般 |
| 黄色粘着トラップ | 飛来害虫を物理的に捕獲 | アザミウマ・コバエ類 |
まとめ
カイガラムシ・アブラムシ・アザミウマ・アガベマイトは、どんな植物にも発生する可能性のある害虫です。
早期発見と定期的な観察、そして環境管理を徹底することで被害を防ぐことができます。
普段から風通しを意識し、肥料や水やりのバランスを整えることが、最も効果的な予防策です。